同志社大学法科大学院

教育体制

知的財産法

知的財産法とは

 今日の社会において、知的財産法は公正な競争社会の基礎として一定の独占領域を私人に提供する法体系であり、現代社会の利潤を生み出す源泉の1つと位置づけられます。知的財産といわれるものには、発明・考案、ノウハウ等の事業上の秘密情報、商品形態も含む各種のデザインや文化芸術上の表現、商品等のブランド、植物新品種、近時の契約に基礎を置くビッグデータなど種々のものが含まれており、いかなる範囲の知的財産にいかなる権利を認め保護を図るべきかは、知的財産法のポリシーの理解と社会の変化に対応した適正な判断を必要とします。以上のように、標識法及びその他の分野も含む知的財産法の領域は膨大なものとなることから、司法試験の出題が知的財産法の中でも特許法と著作権法を対象にしていることも踏まえ、研究の焦点を産業財産権に共通の基本的な骨子を定める特許法、文化の発展を図るとともに表現の自由との狭間でその権利性を定める著作権法を中心にカリキュラムを組んでおります。知的財産法は、多くの判例、実務、国際的趨勢を反映した正確な知識を必要とする法領域であることから、それぞれ春学期と秋学期との通年で知的財産法の理解を得ることができるようにし、特許法・著作権法のそれぞれについて、法分野全体の基礎知識の修得に重点を置いた授業と、重要裁判例や演習を通して事案分析能力の涵養を目指した授業の合計4コマの「知的財産法Ⅰ~Ⅳ」の授業を配置させ、その基本的な理解から法律実務家として必要な事案分析能力の涵養まで段階的に勉強を深めていけるようにしています。

特許法と著作権法の学び方

 特許法について(知的財産法Ⅲ(春学期)、Ⅳ(秋学期)*注): 
 産業の発達に寄与することを目的とした特許法の内容をよく理解して適切に活用することは、ビジネスにおいて極めて重要です。特許法は、その保護対象を技術的思想である発明に関するものであるため、法理論とともに技術の理解が必要である上に、国際的な動向と歴史に沿って特許制度が複雑に発達してきた経緯がありますので、特に、この四半世紀、法改正が頻繁に行われてきたこともあって体系的な理解を得ることが重要です。そこで、2コマの授業のうち、1つ目の授業では、判例百選と基本書を中心としたディスカッション形式の講義を行うとともに、特許法の基本的内容について、具体例の検討もしつつ、体系的に理解できるよう講義するとともに、2つ目の授業においては、事案分析により重点を置き、演習を一部に取り入れるようにしています。裁判等に現れる技術的な内容も知的好奇心を刺激するはずで、最近の動向も重点的に取り上げます。
 著作権法について(知的財産法Ⅰ(春学期)、Ⅱ(秋学期)*注): 
 著作権法の領域は古くから最高裁判決が大きな指導的役割を果たしてきましたが、2005年に知的財産高等裁判所が設立されてからの法理論の深化は、知的財産法の中でも特筆すべきところです。特許法と同様、法改正が頻繁に行われてきたこともあって体系的な理解を得ることが重要であり、2コマの授業のうち、1つ目の授業では、判例百選と基本書を中心としたディスカッション形式の講義を行うとともに、2つ目の授業においては、事案分析により重点を置き、演習を一部に取り入れるようにしています。
 知的財産法Ⅰ~Ⅳの授業を通して、知的財産法の実務にも対応できる応用力の基礎となる分析力や論理的思考能力を身に付けていただくことを期待しています。
*注 知的財産法Ⅰ~Ⅳの番号の付け方は、年度によって変わることがあります。

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