同志社大学法科大学院

教育体制

実務関連科目

「実務を学ぶ」、それは「法科大学院で学ぶ」ことの大いなる利点

「実務関連科目」はどのような内容か

 実務関連科目は、理論と実務の架橋を図るための科目であり、必修科目として、「民事訴訟実務の基礎」「刑事訴訟実務の基礎」「法曹倫理」、選択科目として、「公法実務の基礎」「民事模擬裁判」「刑事模擬裁判」「クリニック」「エクスターンシップ」「法律実務演習」を設けています。
 これらの科目の特色は、民刑事・公法の実体法や手続法の法律基本科目で学んだ理論的な知識を前提にして、これらが実務の中でどのように適用され、展開されていくのかについて学ぶことにより、実務に対する基礎的な理解を深め、実務への導入の基礎を修得することを目的とするものです。
 「民事訴訟実務の基礎」は、派遣裁判官と研究者教員による共同授業で、訴状や答弁書、準備書面において、いかなる事実を主張し、裁判では何を立証しなければならないか(要件事実論)、当事者間に争いのある事実をいかに認定するか(事実認定論)、実際の裁判はどのように進行するか(訴訟運営論)を中心に講義が行われます。
 「刑事訴訟実務の基礎」は、元検察官、派遣検察官、弁護士によるオムニバスの授業であり、捜査の開始から判決の言渡しまでの捜査・訴訟手続を順に検討し、実際のものを模した刑事記録教材を用いて捜査の具体的展開を学び、公判前整理手続及び公判手続の実際の運用を概観しながら記録教材の事案において自ら事実認定を行うなど、刑事訴訟法と刑事実務との有機的連携を目指します。
 「公法実務の基礎」は、裁判官として行政事件の処理経験の豊富な弁護士が担当し、少なからぬ学生が苦手意識をもつ公法分野について、具体的な紛争事例を踏まえて公法実務にとって必要な基礎的知識の修得を目指します。
 「模擬裁判」(民事、刑事とも)は、元裁判官、元検察官、派遣検察官による授業で、学内に設置されている模擬法廷で、学生が裁判官、訴訟代理人、検察官、弁護人の役を演じ、訴訟手続の各段階で行われる当事者や裁判所の主要な訴訟行為や訴訟活動をロールプレイの方法により行い、これによって裁判の過程や裁判実務の基礎を学びます。
 「クリニック」は、弁護士などの実務家教員が担当し、法律事務所における法律相談や事件の受任の場面を想定して、これらに弁護士としてどのように対応すべきかを学びます。また「エクスターンシップ」は、学生を委託弁護士事務所に約2週間派遣して、指導弁護士の下、生の事件に触れながら判例調査・法文書起案・法律相談立会など、実際の多様な弁護士業務の一端に従事させて実務を体験させることにより、法が現実の社会でどのように機能しているかを学ばせるものです。
 「法律実務演習 (民事法)」は、具体的な民事の紛争事例をもとに、弁護士または裁判官の立場から実務的な法律文書を起案させ、これによって法曹として求められる基礎的な問題発見能力と文書作成能力を修練しようとする点に眼目があります。この科目は、京都大学法科大学院との単位互換科目として開講しています。
 以上のように、本学では、実務法曹を目指す学生にとって魅力のある多様な科目が用意されています。

「実務関連科目」を学ぶことの意義

 かつては、法曹を目指すための学修といえば司法試験受験を通じた自学自習を何年も続けることと同義であり、それは、兎に角暗記中心の無味乾燥な作業の繰り返しでありました。
 現在は、「理論と実務の架橋」を目指す法科大学院の発足により、かつてのような「無味乾燥な受験勉強」「実務と乖離したままの机上の自習」とは異なる世界が、皆さんの前に広がっています。先に述べた多様な「実務関連科目」においては、経験豊富な実務家教員の指導の下、今、理論・知識として学んでいる法がどのように展開され、なぜある特定の論点が判例で争点となるのか、まさしく生きた法律学を学ぶことができます。
 これは理論面での学習を深化させるという意義のほか、将来、第一線で活躍する実務法曹になるためにも役立つでしょう。もとより、法曹である限り一生学び続けなければならず、その意味では法科大学院での「学び」とは長い法曹人生の最初のわずかな一歩かもしれません。しかし、例えば、エクスターンシップを終えて戻って来た学生達が、ごく短期間の実務体験に過ぎないものの、「弁護士としてのやりがいを肌で実感した。」「一日でも早く合格して実務の一線に立ちたい。」などと報告してくれるのを聞けば、彼ら彼女らが、法曹を目指す者として、意味のある、そして大いなる一歩を踏み出していることは明らかです。自学自習のみに明け暮れたかつての受験生では、得難い経験と学びの世界が法科大学院にはあります。
 皆さんも「実務関連科目」を学び、「法科大学院で学ぶ」ことのメリットを最大限生かしてください。

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