司法試験の選択科目である国際関係法(私法系分野)は国際私法、国際民事手続法及び国際取引法を対象とします。国際性ある法学教育を柱とする本研究科では、これら三分野を独立の科目として開講して深く学ぶことができるよう配慮しています。
「国際私法」では、限られた分野でしか各国の法統一ができていないために国ごとに法内容が異なっている国際社会の現状の下、渉外法律関係において適用すべき法(準拠法)は何か、またそれは何故かを検討します。
「国際民事訴訟法」では、国際紛争の訴訟法的・手続的問題を扱います。まず、紛争をいずれの国の裁判所で解決するべきかという国際裁判管轄の問題があり、それと関連して、外国で既に係属している事件と同一の事件の訴訟が提起された場合にどのような処理をするべきかという訴訟競合の問題があります。また、外国で判決が下された場合にいかなる要件でどのような効力を認めるべきかという外国判決の承認・執行の問題も中心課題の一つです。さらに、手続的問題として、国境を越える送達や証拠調べをいかに実施するかという問題があります。
司法試験における国際取引法は、国際売買・国際運送・国際支払を中心とする分野(貿易取引)に範囲が限定されています。本研究科では、「国際動産取引法」において、売買・運送・支払の相互関係を多角的に検討し、貿易取引の法体系が明瞭になるようにします。加えて、国際商取引の紛争解決方法として実務上重要な国際商事仲裁の基礎も扱います。