同志社大学法科大学院

教育体制

佐久間毅 教授(民法)

佐久間毅 教授

プロフィールは、こちら

法科大学院での担当科目は何ですか?

 民法講義Ⅰ(総則)、民法講義Ⅱ(物権)、民法演習Ⅱ(主に債権各論)、民法総合演習Ⅰ(主に担保物権、債権総論)および信託法を担当しています。
 民法講義Ⅰと民法講義Ⅱは1年次生対象の必修科目、民法演習Ⅱは2年次生対象の必修科目、民法総合演習Ⅰは3年次生対象の選択科目です。また、信託法は、2年次生以上対象の選択科目です。いずれかの授業を通して、法科大学院に入学された方のほとんどにお目にかかることになります。

授業はどのように行われていますか?

 授業資料を事前に配布し、その資料を用いて授業を進めること、授業中に折に触れて受講者に発言の機会を設けることはすべての科目に共通しています。しかし、科目の性格に応じて、異なる点も少なくありません。

民法講義Ⅰ、民法講義Ⅱについて
 民法講義Ⅰと民法講義Ⅱでは、受講者がその分野の基本的な知識を習得し、比較的単純な事例にその知識を展開することができるようになることを到達目標としています。そこで、授業は、基本知識の整理と簡単な事例問題からなる資料をあらかじめ用意して受講者に十分な予習を求めたうえで、まず私が制度や規定の趣旨のほか、とくに重要な論点に絞って説明をする、次いで事例問題について受講者に質問をし、答えを確認する形で検討する、また、項目のまとまりごとに受講者から比較的自由に質問を受ける、という形で進めています。
 分量が多く、進度も早いため、予習、授業、復習のすべてが大変で、初学者の方にはとくにそうだろうと思います。しかし、それを乗り越えなければ、2年次以降の授業についていくことができないでしょうし、司法試験の合格はおよそ望めないと思います。

民法演習Ⅱ、民法総合演習Ⅰについて
 民法演習Ⅱと民法総合演習Ⅰは、弁護士の先生と共同で担当しています。
 A4で2頁~3頁程度の事例問題、その事例問題を検討するための前提となる知識を確認する問題、関連する重要判例が掲載された教材があらかじめ配布され、授業では、受講者が事前に十分に予習していることを前提として、問答形式でそれらの問題を検討しています。弁護士の先生に事例問題をご担当いただき、その前提となる知識確認問題を私が担当しています。
 私の担当部分については、受講者が長文の複雑な問題に適切に展開することができる形で基礎知識を整理しておけるようになることを目標にして、知識確認問題がどのような理由から、何を理解すべきものとして立てられているのか、答えが複数ありうる場合、それぞれの答えの基礎にある考え方は何か、その対立についてどのように考えるべきかを受講者が理解することができるよう、問題に答えるための前提となる事柄や関連する事柄を含めて様々なことを私が受講者に問い、考えてもらうことを基本に進めています。
 授業では、事前配布の教材にない問いを数多くしますし、実は行き詰まりに追い込むために当然と思われる答えがある問いをあえて重ね、行き詰ってはじめて本当の問いは何かが分かるようにすることもあります。そのため、受講者のなかには、予習が大変なわりに授業での回答にあまり役に立たない、結局復習にも力を入れなければならないと、不満に思う方もあるかもしれません。しかし、試験に出そうな論点について、試験で高評価を得るにはどのような整理をすればよいかばかりを考える勉強はつまらないですし、結局のところ、それでは学力がつかず、試験での高得点にもつながりにくいだろうと思います。受講者の一人でも多くに、民法の問題を考えることの面白さを知り、その面白さを原動力として民法の勉強をさらに進めてもらえるようになることを願って、授業をしています。

信託法について
 信託法は、ほぼすべての受講者が未知の分野であると考えられることから、基本的に講義形式で授業を進めています。上記の諸科目と異なり司法試験科目ではなりませんし、この科目の受講が間接的に司法試験に役立つという性格のものでもありません。ただ、信託は社会において重要性を増しており、これからも様々な目的のために利用が図られていくだろうと考えられます。そこで、授業では、受講者にまずは信託に興味を持ってもらうこと、そのうえで受講者にいつの日か自ら信託の設定に関わったり、他人に信託の設定について助言したりすることができるようになるための基礎を得てもらうことを目標として、信託という制度と信託法の規定の基本的な内容について、信託の代表的な利用例を数多く紹介し、また、民法や会社法など他の法分野の似た制度との比較もしながら、説明をしています。

BACK
ページの先頭へ