プロフィールは、こちら
A.主に国際関係法(私法系)です。この分野は司法試験の選択科目であり、本研究科では、国際私法I、国際私法II、国際民事訴訟法、国際動産取引法の4科目で教えています。各科目の授業レジュメと期末試験の過去問は、同志社大学オープン・コースウェアとしてインターネット上に公開しています。国際関係法(私法系)の科目の他に、展開・選択科目群でブロックチェーン・暗号資産法も教えています。
A.国際関係法(私法系)は、親族・相続法から知的財産法に至るまであらゆる私法分野の国際的局面が対象となっており、非常に広い範囲となっています。私の授業方針は、その広い範囲をカバーし、できるだけ効率的に知識と理解を修得できるような講義を提供することです。司法試験に直結する内容となるよう心掛けており、自分の研究や関心を軸に授業を組み立てるようなことはしていません。少ない予習でも理解できる説明をすることで、初学者であっても少ない負担で履修できるよう心がけています。反面、復習を通じた知識の定着は、各学生に責任を持って取り組んでもらいます。
A.今日、実務法曹には,他者との差別化のため、新規の法務需要を開拓する姿勢と能力が求められています。新しいIT技術であるブロックチェーン(分散台帳)からは、大きな法務需要が生まれる可能性があり、本科目により、派生する法律問題を幅広く学んでおく意義は大きいと思われます。このような科目は、国内外を見渡しても、他大学にほとんど例がありません。最先端のテーマですが、授業では、受講生の皆さんに前提知識を求めず、できるだけ易しい説明を心がけています。多くの論点において議論が未成熟で、考察の余地が大きいところも、この分野の魅力です。
A.私は、2003年までイギリスの大学で専任講師として教鞭を執っていましたが、当時の司法制度改革の理念に共鳴し、日本の法科大学院教育に参画しました。その理念とは、司法試験という「点」のみによる選抜から「プロセス」としての法曹養成制度を目指すというものでした。「プロセス」としての法曹養成では、各人が法曹資格取得までの各過程で受ける評価や体験を通じて自分の法曹としての適性と得意分野を見極めていくことになります。また、実社会の多様な法務ニーズを反映させた形で必要な知識や技術を磨いていくことができます。ところが、実際に新司法試験が始まると、制度運用者は、質の均一性に拘泥して参入時に高いハードルを課す発想から抜け切れず、結局、当初の理念は封印されてしまいました。どの業界でも、門戸を広げて多様な人材を呼び込み、その中で切磋琢磨させる構造を作らなければ、優秀な人材は参入しないのではないでしょうか。新司法試験が始まって以来、法曹志望者が減り続けているのは偶然とは思われず、今からでも当初の理念に回帰すべきであると考えています。しかし、一教員としての私の役割は、学生さん達の直近の目標である司法試験合格を効率よく支援することです。割り切ってサポートしていきますので、学生の皆さんも頑張っていただきたいと思います。