自己点検・評価
認証評価
はじめに
同志社大学大学院司法研究科(法科大学院)は2004年4月に開設され、2007年3月で完成年度を終える。この時にあたり、同志社大学大学院司法研究科(以下、「本法科大学院」という。)自己点検・評価委員会は、大学評価・学位授与機構の法科大学院認証評価基準を参考に現況を簡潔にまとめ、公表することにした。まとめの対象とした期間は、2004年4月の開設時から2007年1月31日までである。
2007年3月24日
第1章 教育目的
本法科大学院は、民事・刑事司法に携わりたい者、市井にあって社会的正義の実現に寄与したい者、国際社会に雄飛して渉外法務等ビジネスの分野で活躍したい者等々の、多種・多様なニーズに対応できるようカリキュラムを編成し、「良心教育」、「国際性」、「高度の専門性」という本法科大学院の教育理念に裏打ちされた専門的能力を修得させることを教育目的にしている。
本法科大学院の設置理念の一つである国際性に富む法曹の育成については、アメリカのウィスコンシン大学との間でデュアル・ディグリ-・プログラム(Dual Degree Program)を実施すべく具体的な検討を進めている。また、海外法曹機関等でのインターンシップの実施や研修等を積極的に推し進めている。
本法科大学院は、2004年度、文部科学省の「法科大学院等専門職大学院形成支援プログラム」(2006年度から「法科大学院等専門職大学院教育推進プログラム」に名称変更)の補助事業に申請をし、採択された「国際的視野と判断力をもつ法律家の養成」プロジェクト(以下、「文科省形成支援プロジェクト」という。)を通して、3年間に亘り、国際法務に関する教育プログラムの開発等に取り組み、海外の研究者・実務家等と協力関係を深めている。
教育目的を実現するためには、教育効果の測定を怠ることなく、必要とされる改善に努めなければならないことは言うまでもなく、様々な方法で在学生・修了生を含む関係者の意見を聴取し、カリキュラムの見直しと再編成、学生への個別面談指導のための指導教授制度の改善等を行った。
第2章 教育内容
本法科大学院では、法科大学院設置基準の趣旨に従い、以下の科目を設置している。
A群(基礎科目)は法学未修者を対象にした科目群であり、法律学の基礎的知識を修得させ、入学後1年で2年コースの法学既修者に相当する学力を持たせることを目的にして編成されている。
B群(法曹基本科目)は法曹としての実務的専門能力を養成するための科目群で、「刑事訴訟実務の基礎」、「民事訴訟実務の基礎」を設置している。担当者として、専任の実務家教員の他、派遣裁判官、派遣検察官を配置している。また、実務家として必要な高度の倫理性を身に付けさせるため、「法曹倫理」を設置している。
C群(基幹科目)の演習科目はカリキュラム全体の中心に位置する科目群であり、高レベルの法解釈能力を養う教育を行う。また、実体法と手続法の相互関連性等や関連科目を一体的に理解させ、総合的な理解力・応用力を養成することを目的に、演習に加えて総合演習を設置している。このC群科目と上記A群、B群の科目とは必修科目である。
D群(展開・先端科目)は、実務法曹としての高度の専門性を養成するための科目群である。多くの先端的法領域を網羅し、現代における法的紛争の多様化と、それに伴う専門法曹のニーズに応えるための科目を配置している。
E群(法曹応用科目)も、D群と同様の応用科目群であるが、ここでは特に、学生各人のキャリア設計に即した専門的応用能力の修得という視点を重視し、刑事司法コース、ビジネス取引コース、ビジネス組織コース、国際法務コースの4コースの中から1コースを選択し、重点的に履修することを修了の要件としている。
F群(アメリカ法関連科目)は、実務法曹として重要であると同時に、本法科大学院の特色でもある国際性を修得させるため、アメリカ法関連科目に加えて、EU法、イギリス法関連科目を設置している。
G群(基礎法・隣接科目)はA群~C群の基本科目群と隣接し、それと連携する性格の科目群であり、「法理学」、「比較法文化論」、「法社会学」、「法政策論」、「現代人権論」を設置している。
H群(実務関連科目)はB群に隣接し、これと連携する実務的専門能力養成科目であり、「模擬裁判」、「クリニック」、「エクスターンシップ」、「法律文書作成」を設置している。上記D群以下の科目は選択科目である。
課程の修了には、必修科目66単位(A群30単位、B群6単位、C群30単位)、選択科目36単位以上、計102単位以上の修得を必要とする。但し、選択科目については、D群から8単位以上、E群から8単位以上、F群から4単位以上、G群から4単位以上、H群から2単位以上修得することを必要とする。このうちE群については、4つのコースから1つ選択し、選択したコースから6単位以上修得しなければならない。法学既修者の場合は、A群科目30単位を修得したものとみなし、A群科目を除く必修科目36単位、選択科目36単位以上(選択科目の条件については上に同じ)、計72単位以上の修得を必要とする。なお、年間登録制限単位は36単位(但し最終学年は44単位)であり、1学期の登録単位数は1単位以上22単位を限度する。
単位として認定されないが、文科省形成支援プロジェクトに基づく活動の一環として、2006年度には、シンガポールの渉外法律事務所での海外インターンシップを実現させた。2007年度からは、オ-ストラリア、アメリカ、カナダ、ドイツの法律事務所でも行うことを予定している。2005年には、米国グアム準州においてアメリカ司法を学ぶ研修プログラムを実施した。なお、2007年度からは、これらのインタ-ンシップや研修について単位認定を行うこととした。
本法科大学院は、2006年3月第1期の修了生を出し、また、2006年度を以て完成年度を終えることから、本法科大学院の教育効果を一層高めるために、次のように、カリキュラムの見直し、変更を行った。
- (1) D群展開・先端科目をD群展開・先端科目ⅠとE群展開・先端科目Ⅱに分け、科目の配置を整頓し、また、「地方自治法」「情報法」を新設する等、応用的先端的法領域等に関する科目を充実させた。
- (2) E群として配置されていたコース制法曹応用科目を群から外して弾力化し、「履修モデル」として履修指導を行う。また、従来のコ-スにはなかった民事司法コースを「履修モデル」に新設する。
- (3) F群アメリカ法関連科目の名称をF群外国法科目に変更し、そこに、「外国法実地研修」「海外インターンシップ」「外国法特別セミナー」を新設した。前二者は文科省形成支援プロジェクトに基づく海外研修の実績を踏まえたものであり、最後の科目は海外協定大学との協定を踏まえたものである。
- (4) 「応用ゼミ」をB群法曹基本科目、D群展開・先端科目Ⅰ、E群展開・先端科目Ⅱ、F群外国法、G群基礎法・隣接科目に設けた。「応用ゼミ」は年度毎に柔軟にテーマを設定し、その時々の重要トピックを学習させることを目的にしている。参加人数を少人数に限定することにより、担当教員のきめ細かな指導を受けることができる。そのことを通して、法曹としての自覚が高まる等、良心教育の面でも効用がある。
- (5) 基礎学力向上のために、C群基幹科目に、選択科目として、「現代法律行為論」「現代担保法」「債権総論特論」「契約法特論」「法定債権法」「刑法特講Ⅰ」「刑法特講Ⅱ」「刑事訴訟法特講」「民事訴訟法特講」の新設科目を置く。
- (6) A群基礎科目、B群法曹基本科目、C群基幹科目の充実のために、A群に「民法講義Ⅳ(家族法)」を、B群には「公法実務の基礎」を共に選択科目として置き、C群に「民事法総合演習Ⅲ」を必修科目として置く。
- (7) その他、9科目の科目名、8科目の配当年次、3科目の開講学期を変更した。
- (8) 基礎科目(A群)、基幹科目(C群)のそれぞれに、不得意科目の学修を支援するため、あるいは基礎学力を確実なものとするために、各自の判断で追加的に履修できる選択科目を新設した。
新カリキュラムの場合、課程の修了には、必修科目68単位(A群30単位、B群6単位、C群32単位)、選択科目34単位以上、合計102単位以上修得する必要がある。但し、選択科目は、D群及びE群から12単位以上、F群から4単位以上、G群から4単位以上、H群から2単位以上の履修し、かつB群、D群、E群、F群、G群、H群の中から合計26単位以上履修することが必要である。法学既修者の場合は、A群科目30単位を修得したものとみなし、必修科目38単位、選択科目34単位以上(選択科目の条件については上に同じ)、合計72単位以上の修得を必要とする。なお、年間登録制限単位は36単位(但し最終学年は44単位)、1学期の登録単位数は1単位以上22単位で、変更はない。
本法科大学院では、2006年度まで、設置理念・目的・教育目標に沿った教育が行われてきたと評価できる。2007年度以降は新しい内容での教育が行われるが、社会の変化に対応し得る高度な能力を持つ法曹を養成するために、教育効果に留意しつつ、教育内容の改善について今後とも不断に検討を重ねることが求められている。
第3章 教育方法
本法科大学院では、演習を1クラス25名で行い、基幹科目の少人数教育を実現することで、双方向、多方向の議論による法理論の理解を徹底し、実務的な法運用の鍛錬を行っている。基幹科目以外の科目についても、1クラスの登録人数の適正化に努めてきている。また、2007年度以降適用される新カリキュラムの編成の際も、この点が考慮に入れられた。
本法科大学院の学生は、同志社大学の他研究科の開講科目を履修できる。また、関西4大学(関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学)の協定に基づく単位互換制度により、本法科大学院学生は他大学の法科大学院開講科目を履修することができる。
授業の方法であるが、A群科目(基礎科目)は、法学未修者のための開講科目であるので「講義」という形式をとるが、双方向での授業が適宜行われている。C群科目(基幹科目)は全て演習であり、具体的な事例検討を前提とした徹底した双方向での授業である。
B群科目(法曹基本科目)、D群科目(展開・先端科目)、E群科目(法曹応用科目)、F群科目(アメリカ法関連科目)、G群科目(基礎法・隣接科目)、H群(実務関連科目)においても、その科目の特質に基づいて、教員の裁量のもと、双方向での授業を原則としながら、授業形式については様々な工夫が凝らされている。実務関連科目のエクスタ-ンシップについては、現在、国内においては、関西圏の28法律事務所で学生が研修をしている。
講義、演習で十分に理解しきれない場合には、オフィス・アワ-等を積極的に活用させると共に、アカデミック・アドバイザーとして待機する若手弁護士に質問、相談する場も提供し、その利用を勧めている。
1年間の授業内容や成績評価方法(定期テストと平常点評価の割合やその評価基準)については、シラバスにより事前に受講生に通知されている。なお、本法科大学院はGPAによる成績評価を行っている。評価結果も広く公表している。教材、資料、レジュメ等は、開講前に一括配付する等、学生の予習に十分な配慮をしている。
第4章 成績評価および修了認定
本法科大学院では、大半の科目において筆記試験による学期末試験を実施しているが、一部の科目ではレポート試験を課している。多くの科目では、評価に際して出席や発表等に基づく平常点、小レポート等による成績評価をも加味している。なお、本法科大学院では、授業への出席は単位修得の前提とされているところであり、出席状況等も平常点の一部として成績評価に加味される。本法科大学院では、開設時からA+~Fの7段階の評価で学生に成績を通知すると共に、GPA制度を導入している。
成績の評価基準、レポ-ト試験の実施要領等が定められており、それに基づいて客観的な成績評価が行われている。成績評価基準に従い成績評価が行われることを確保する措置として、次の事前・事後手続がある。
- (1) 複数教員が担当する科目については、複数の教員で答案の採点を行い、その後、合議で最終の成績評価を行う。
- (2) 成績評価に対して、学生は異議申立てができる。
- (3) 各科目間の成績評価、得点分布は同志社大学ホ-ムペ-ジで公表されており、適正さに向けての牽制効果を高めている。
学期末試験で合格点に達しない学生には、再評価試験を実施している。再評価試験の実施は教員に義務づけられていないが、大半の科目で再試験が実施されている。追試験は、一定の条件を満たし、やむを得ない事情のある学生にのみ認められている。
成績評価は学生の最大の関心事の一つであるが、成績評価の客観性の精度をさらに高めることや学生に対する教育指導にそれを連携させること等、工夫を求められることの多いテーマである。
本法科大学院を修了した者には、「法務博士(専門職)」の学位を授与する。修了認定の要件は、3年間の在学と所定の履修方法による102単位の取得であるが、法学既修者の場合は、A群基礎科目(30単位)の履修が免除され、また、在学期間も1年間短縮される。
2006年度には、91名の学生に「法務博士(専門職)」の学位が授与された。ちなみに、2004年度に法学既修者として入学した者は、全入学者156名中95名である。
第5章 教育内容等の改善措置
教育の改善・向上については、Faculty Development(以下、「FD」という。)委員会を中心にした取り組みが継続されている。具体的には、全設置科目を対象にして、各教員が相互に授業を傍聴し合うこと等が行われている。
2004年4月以降、FD委員会では、授業の内容や方法を改善するための教員研修を数回企画・実施すると共に、司法研修所における法科大学院教員研修プログラムや法科大学院協会、日本弁護士連合会、他大学等が主催するFD関係シンポジウム、他大学法科大学院等主催のシンポジウムや研究会等に専任教員(みなし専任を含む)を派遣した。
学生による授業評価であるが、自由記述欄の内容については、代表的な意見を抽出、整理して、教授会で資料を配布し、検討内容を報告する等のことが行われている。
同志社大学では、全学的にGPA制度を導入する際、クレーム・コミッティ制度を同時に設けた。本法科大学院においても2名の委員からなるクレーム・コミッティを設置し、学生からのクレームに対応している。
実務家教員、研究者教員それぞれの経験・知見を実際に教育に生かすだけでなく、相互研修の場にもなっているのが、カリキュラムC群・基幹科目の中の演習・総合演習科目である。これらの科目は一部を除いて、実務家教員と研究者教員とを含む複数の教員で担当されている。また、C群科目は、全クラス統一のシラバスで授業が行われていることから、科目毎に教材の作成、内容の検討、授業進行の打合わせのために定期的に会議を開いている。
教育内容等の改善は、教育方法の改善とも連動した作業であるが、FD委員会を中心にしてより効果的な対応を引き続き重ねることが求められている。
第6章 入学者選抜等
入学試験は、本法科大学院の研究科長を委員長とする入試実行委員会の責任の下で実施されている。委員会は、本法科大学院の執行部全員とそれ以外の専任教員若干名で編成されている。
本法科大学院のアドミッション・ポリシーは、豊かな人間性・感受性・教養・学識・国際性を身に付け、将来、我が国の司法を担う法曹として活躍しようという強い意志を持つ人材を受け入れることである。
入学者選抜に当たり、公平性、開放性、多様性を重視し、法学部・法学研究科以外の出身者や社会人も積極的に受け入れている。さらに、大学入試センターが実施する適性試験の成績を重視する一方、学業成績、専門能力・資格、職歴・職務経験歴、活動歴等も総合的に評価し、多様な人材を受け入れている。英語等語学優秀者に対して、一定の配慮もしている。
特別枠は設けていないが、入学定員150名中3割程度が社会人および非法学部出身者(法学を履修する課程以外の課程を履修した者)となるよう入学者選抜をしている。社会人については、第2次審査で専門能力・資格(法学に関係のない資格、法学に関係する資格)を重視している。
非法学部出身者についても、それぞれの専攻領域での学業成績の他に、語学能力等を積極的に評価し、幅広く受け入れている。
2006年度は、社会人50名、非法学部出身者35名(法学部以外の学部を卒業後、法学部を卒業した者1名を含む)が入学した。この85名から、社会人でもあり且つ非法学部出身者でもある重複者21名を除いた64名が、社会人・非法学部出身者の実数である。なお、本法科大学院における社会人の定義は、「入学時に大学(大学院等を含む)卒業後3年以上経過している者」である。
収容定員は、450名である。但し、法学未修者50名、法学既修者100名を目安として学生募集を行っているため、標準的な学生数は350名(法学未修者150名、法学既修者200名)である。2004年度~2006年度の入学者は365名(法学未修者175名、法学既修者190名)である。2007年1月31日現在の在籍者数は363名(法学未修者174名、法学既修者189名)である。
アドミッション・ポリシーを踏まえ、また、判定基準の妥当性について検証を重ねながら、多様な人材、特に社会人・非法学部出身者を受け入れる努力を継続することが求められている。
第7章 学生の支援体制
学習支援の一つは履修指導であるが、新入生はもとより入学予定者に対しても行われている。各教員も個々にオフィス・アワー等で履修指導を含む学習支援をしている。また、複数の弁護士がアカデミック・アドバイザーという名称でチームを組み交代で、月曜日から金曜日まで学習支援・相談に当っている。さらに、2006年度から指導教授制度の充実が図られ、学習支援を含め総合的に学生生活についての相談・指導が行われている。メディア・サポーター1名を定期的に配置し、情報検索の支援・相談に当たっている。
生活支援については、本法科大学院独自に、授業料相当額(1、2年次各9人、3年次3人)ないし授業料相当額の半額(1、2年次各15人、3年次5人)給付制の奨学金制度を設け、さらに、学費の支弁に支障のある学生に対して授業料相当額を限度とする貸与奨学金制度も設けている。後者は無利息であり、原則として希望者全員に貸与が可能なように予算的措置を講じている。
学生の健康面については、本法科大学院のある建物内に厚生館保健センターがある。同センターは月曜日から金曜日までの定められた時間帯に診療を行っており、学生については、受診者に代わって大学が医療費(保険診療分のうち自己負担分)を同センターに支払うことになっている。なお、同センターは学生健康診断も毎年1回実施している。
本法科大学院のある建物の中には、全学共用であるが、フィットネス・ルームもある。
学生相談のための大学全体の組織として、カウンセリング・センターがある。本法科大学院における生活相談については、学生担当教員が責任を負っている。また、上記の指導教授も適宜相談に応じている。セクシュアル・ハラスメントを含むキャンパス・ハラスメントについては、大学の関係委員会に1名の相談員を推薦している。
障がいのある学生は現在在籍していないが、入学者がある場合、障がいの形に応じて施設・設備等の整備をし、また、学習支援をする用意をしている。
学生が求める支援の中で一番のものは、補講等を含む学習支援であるが、人的な面等の制約もあり、工夫に困難を伴うことの多いテーマである。
第8章 教員組織
専任教員の職名別構成等(2007年1月31日現在)を表にすると、以下である。
専 攻 |
収 容 定 員 |
在 籍 学 生 数 (a) |
設置基準 必要教員数* |
専任教員(b) | みなし専任 | 在 籍 学 生 数 (a) / 専 任 教 員 数 (b) |
||||||||||||
実務家教員 (内数) |
実務家教員 | |||||||||||||||||
実 務 家 教 員 ** |
み な し 専 任 *** |
教 授 |
助 教 授 |
講 師 |
合 計 |
教 授 |
助 教 授 |
講 師 |
合 計 |
教 授 |
助 教 授 |
講 師 |
合 計 |
|||||
法務 | 450 | 363 | 30 | 6 | 4 | 30 | 3 | 0 | 33 | 4 | 1 | 0 | 5 | 2 | 0 | 3 | 5 | 11.0 |
* | 設置基準必要教員数のうち半数は教授でなければならない。 |
** | 専攻分野におけるおおむね5年以上の実務の経験を有し、かつ高度の実務の能力を有する者。 |
*** | 実務家教員の一部は、専任教員以外のものであっても、1年につき6単位以上の授業を担当とし、かつ、教育課程の編成その他の専門職学位課程を置く組織の運営について責任を担う者で足る。 |
みなし専任5名は全て弁護士である。みなし専任教員を除く33名の専任教員中28名は研究者教員、5名は実務家教員である。実務家専任教員5名中3名は裁判官出身であり、他の1名は弁理士の資格を持ち、また、特許庁で審査・審判に係る職を務め、残る1名は、Duke University School of Lawと東北大学法学研究科政治学専攻博士課程(前期課程)を修了した外国籍のニューヨーク州弁護士であり、複数の外国法事務弁護士事務所に勤務し、幅広い分野の法律業務等について経験と実績を有している。
専任教員以外の実務家教員(兼任教員)は派遣裁判官が2名、派遣検察官が1名、弁護士が17名である。専任教員以外の研究者教員(兼担教員、兼任教員)は9名である。
なお、 2004年4月の開設時には専任教員中10名が、2007年1月現在では8名が法学部・法学研究科にも所属している。
各専任教員(みなし専任を含む)の研究業績、高度の教育能力を有することを示す経歴・経験および学外での公的活動・社会貢献活動等については、最新のものを含め、本法科大学院ホームページで公表する準備を進めてきたが、2006年10月に公表した。
弁護士17名は、民事法、刑事法の演習、総合演習、クリニック等実務関連科目等を担当している。
派遣検察官1名は「刑事訴訟実務の基礎」、「刑事法総合演習」を担当し、派遣裁判官2名は「民事訴訟実務の基礎」、「法曹倫理」を担当している。
学界や実務界で高く評価されている教員が核になり、また、先頭に立ち、司法制度改革の理念を踏まえ全力で教育に当っていることは高く評価できるが、一方で、教育負担の適正化について工夫が求められている。
第9章 管理運営等
本法科大学院は独立研究科である。教育課程や人事等、本法科大学院の運営に関わる全ての重要事項を審議し決定する最高機関は、独自の教員組織である教授会である。教授会を構成するのは、本法科大学院の専任教員(但し、みなし専任は含まない)である。みなし専任は、全員、カリキュラム委員会(委員は教授会全構成員であり、委員長は研究科長である)の構成メンバーである。また、みなし専任には教授会関係資料を全て送付し、専任教員との情報の共有に努めている。
教授会の下には、カリキュラム委員会、FD委員会、研究教育環境委員会等各種委員会が設置されている。
事務組織であるが、本法科大学院に関わる事務を専ら分掌する組織として司法研究科事務室が置かれている。教育活動を日常的に遂行するための基本となる予算は、毎年、全学諸機関の長で構成される予算委員会において、他学部・他研究科と共に審議・決定されている
自己点検・評価委員会は、「同志社大学自己点検・評価規程」による委員会でもある。同志社大学は、2006年1月に大学基準協会の「相互評価」の申請を行い、2006年度に書面審査・実地視察を受けた。本法科大学院は、この申請に関わり自己点検・評価を行い、2005年3月から4月にかけて原案をまとめた。これとは別に、大学評価・学位授与機構の法科大学院認証評価基準を参照して本法科大学院の現状を点検し、2006年3月1日の教授会で報告がなされ、また、その報告を受けて、FD活動の強化等の改善が図られた。2006年度の自己点検・評価委員会の主な仕事は、本法科大学院開設以降の現況の取りまとめを行うことである。自己点検・評価委員会には、学外の有識者2名(研究者1名、実務家1名)が特別委員として加わっている。
情報の公表については、学内外に対して、教育活動や研究活動、入学試験、国際交流等に関する重要事項について毎年公表している。公表の媒体は、法科大学院パンフレット、「大学院履修要項」、「シラバス・履修の手引」、「入学試験要項」、「大学院案内」等冊子、インターネット(本法科大学院ホームページ、文科省形成支援プロジェクトホームページ)、その他、同志社大学および同志社大学法学部が発行する冊子等である。
法科大学院開設時に比較すると、管理運営能力は格段に向上したと評価できるが、今後とも各種委員会等の活動を一層充実させ、本法科大学院の管理運営能力の向上を図ることが求められている。
第10章 施設、設備及び図書館等
本法科大学院の諸施設は、一つの建物(名称は寒梅館)の2、4、5階に配置されている。2階には、講義用教室3室(50名収容、80名収容、118名収容各1)、演習室4室、模擬法廷教室1室がある。講義用教室、演習室の形は馬蹄型ないし扇型の階段式であり、双方向・多方向の授業に対応できるようにしている。2階は本法科大学院の専用フロアではないが、講義用教室・演習室・模擬法廷教室については、本法科大学院の最優先使用が認められている。なお、演習室は、5階にも2室ある。
4、5階は、本法科大学院の専用フロアであり、そこにある諸施設等の管理は、本法科大学院によって行われている。
学生用の施設では、他に、共同学習室、学生談話室、アカデミック・アドバイザー室がある。教員と学生が面談する際に使用することを当初の目的にしていた教員・学生交流ラウンジは、学生の自主的な共同学習にも活用できるように、コピー機を置く等、整備した。
教員研究室の数は36室である。
自習室には、総数で476台のキャレル(ロッカー付)が設置され、24時間使用されている。学生は1台のキャレルを固定席として使用することができる。自習室は、本法科大学院専用フロアである、建物の4階と5階に配置されているが、本法科大学院図書室は4階にあり、学生が本法科大学院図書室を利用する上での不便はない。
本法科大学院修了生で司法試験準備のためにキャレルの使用を希望する者には、「司法試験準備生」という名称で、在学生分を差し引いた残りのキャレルを、費用を徴収し、期間を区切り、使用させている。但し、キャレルの数に限りがあるので、本法科大学院修了年度に司法試験を受験する修了生が優先されている。
教室、自習室等の施設は、無線LANが整備されている他、教室、自習室の全ての机には、有線でもLAN接続ができるようPC用に情報コンセントと電源コンセントが備えられている。教員個人研究室、アカデミック・アドバイザー室兼嘱託講師控室にも全てパソコン用の情報コンセントが備えられている。
本法科大学院専用の図書室、情報検索室は建物の4階にある。図書室の座席数は、60席である。情報検索室の座席数は、20席である。図書の配架は開架方式であるため、図書等の配置が正常であるか等の点検を日常業務に組み入れている。BDS(ブックディテクションシステム)で、退出者の貸出管理をしている。
本法科大学院の図書および資料の所蔵状況(2007年1月31日現在)は、次の通りである。図書12、828冊(外国書1、336冊を含む)。学術雑誌269種(外国雑誌10種を含む)。視聴覚資料13点(ビデオ4、CD3、CD-ROM6)。データベース5種(①LLI法科大学院情報化支援システム ②TKC法科大学院教育研究支援システム ③Hein-on-line ④Westlaw.com Academic Plan ⑤Lexis.com)。学生は、これらのデータベースに自宅からもアクセスすることができる。
図書室と情報検索室の開室時間は、月曜日~金曜日が9時から22時、土曜日・日曜日が9時から18時である。年間開室日は336日(2005年度実績)である。図書室には、開室時間中、レファレンス対応ができるスタッフが常駐し、文献・資料の所蔵調査や判例検索、キーワードからの文献情報検索等を短時間でできる体制を業務として確立している。教員については、メールや電話でのレファレンスにも応じている。また、新着雑誌について、申請のある教員について、10点まで(本法科大学院所蔵以外のものを含め)、コンテンツサービス(コピーによる雑誌目次情報の提供)をしている。
機器類については、35台のPC(内蔵書検索用1台)と2台のプリンタ、コピー機3台を図書室に、20台のPCと2台のプリンタを情報検索室に置いている。教員、学生が機器類を操作する際の支援のために、メディア・サポーターが定期的に待機している。
本法科大学院が、教育目的を実現するための基本的な施設・設備を用意し、有効に活用していることは優れた面として評価できる。施設面等にさらに工夫を加え、ゆとりのある環境の中で教育目的の実現に取り組むことができるよう引き続き検討を重ねることが求められている。