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国際関係法(私法系) ~授業、期末試験、司法試験の対応関係~

   司法試験の選択科目である国際関係法(私法系)の出題範囲は、本学では、国際私法I・II(各2単位)、国際民事訴訟法(2単位)、国際動産取引法(2単位)の4科目(いずれも高橋宏司教授担当)の授業でカバーしています。以下に、平成20年司法試験の問題を例に、第1問・第2問それぞれにつき、問題文の引用に続いて、類似する期末試験の過去問を掲載し、授業で使用しているレジュメのうち関連するものにリンクを貼り、それぞれの対応関係を示します。

1.平成20年(2008年)司法試験国際関係法(私法系)〔第1問〕

a. 司法試験問題文

   日本に常居所を有する60歳の甲国人男Aは、事理を弁識する能力を欠く常況にあったため、日本の裁判所により後見開始の審判を受け、嫡出子である甲国人Xが、Aの後見人として選任された。Aには認知をしていなかった甲国人の非嫡出子Yがいた。一時的に事理を弁識する能力を回復したAは、日本において、遺言書に「Yを自己の子として認知する。」旨、日付及び氏名を自署し、これに押印した。遺言書作成に当たっては、医師1名が立ち会い、Aに事理を弁識する能力のあることを確認する旨を遺言書に付記し、署名押印している。その後、Aは、日本国籍を取得し、日本において死亡した。Yは、日本において、Aの遺産の分割をXに対して求めている。
   この事例について、甲国の国際私法からの反致はないものとして、以下の設問に答えなさい。なお、設問の各問いは、いずれも独立したものである。また、甲国の民法は、その要件・効果とも、日本の民法が定める後見制度と同視することができる後見制度を有しており、認知と遺言については次の規定があること及び本件事例には法の適用に関する通則法(平成18年法律第78号)が適用されることを前提とする。

【甲国の民法】

第P条
父が被後見人であるときは、後見人の同意を得て認知をすることができる。
第Q条
認知は、遺言によっても、することができる。
第R条
認知には、子の承諾を要しない。
第S条
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自署し、これに印を押さなければならない。
第T条
被後見人は、その事理を弁識する能力が回復したときに限り、遺言をすることができる。
2 前項の場合には、医師1名以上が事理を弁識する能力のあることを遺言書に付記し、署名押印しなければならない。
第U条
遺言は、遺言者の死亡した時からその効力を生ずる。
   

〔設問〕

  • 1. Aは遺言能力を有しているか。
  • 2. Aの遺言は方式に関して有効に成立しているか。
  • 3. Aの遺言が有効に成立しているとした場合、Yの認知は有効に成立しているか。なお、A死亡の時点においてYは20歳であり、Xは、AによるYの認知を容認しない態度をとっているとする。

b. 類似する期末試験過去問

   2006年度 国際私法 期末試験 第一問
   甲国と乙国(いずれも日本ではない)双方の国籍を有するXは、甲国で生計を立てながら乙国人女性Aと暮らしていたが、婚姻はしなかった。Xの甲国居住10年目にして、AはYを出産し、Yは甲国と乙国双方の国籍を取得した。その後間もなく、Xは独りで乙国に引越し、定職も得て18年間定住していたが、あるとき病に倒れ死亡した。しかし、その直前に、甲国の郵便局に適法な遺言の書式として備え付けられている用紙を取り寄せて、その書式に則って乙国で遺言を作成した。その当時、Xは病のため頭脳が明晰ではなかったが、この遺言に「Yを認知する」と記載した。Yは出生後Xの死亡までの20年間、甲国内に継続して居住していた。甲国法と乙国法について以下のことが分かっているとして、この認知は日本において有効とされるかについて、関連する各問題についての準拠法を明らかにしながら論ぜよ。

   甲国法では遺言による認知を認めないが、乙国法では認める。
   甲国法では認知に届出を要するが、乙国法では不要である。
   甲国法の下では、未成年者の認知は裁判所による許可がなければできず、成年者の認知は本人の同意がなければできない。乙国法にはそのような要件はない。
   成年年齢は、甲国法の下では22歳、乙国法の下では18歳である。
Xは遺言作成当時頭脳が明晰ではなかった。したがって、甲国法によれば認知能力を欠いていたが、乙国法によれば認知能力があった。また、甲国法によれば遺言能力を欠いていたが、乙国法によれば遺言能力があった。
   甲国郵便局に備え付けの用紙の書式に則った遺言は、甲国法の下では適式であるが、乙国法の下では不適式である。
   甲国と乙国は日本の「法の適用に関する通則法」と同じ国際私法規則を有する。

c. 関連するレジュメ

上に引用した問題に特に関連するレジュメは、国際私法の授業で使用する
「親子」(http://www1.doshisha.ac.jp/~tradelaw/ParentChild.doc)と
「遺言」(http://www1.doshisha.ac.jp/~tradelaw/Will.doc)のレジュメです。

2. 平成20年(2008年)司法試験国際関係法(私法系)〔第2問〕

a. 司法試験問題文

   日本のX会社は、乙国のA会社から所定の大きさの箱に詰めた冷凍エビを輸入することとし、Aとの間で、「Xが船舶の手配をし、運送賃を支払う。Aが冷凍エビを詰めた約定の数量の箱を乙国の港で運送人に引き渡すことによって商品の引渡しとする。売買代金はXが日本の銀行に開設する信用状による決済とする。」旨の約定で契約した。その後、Xは、海上運送業者Y会社に乙国の港から日本の港までの海上運送を依頼し、Aは、Yが提供した冷凍貨物用のコンテナ1個に自ら冷凍エビを詰めた約定の数の箱を積み込んで施錠し、運送中の温度管理についてYに指示をして、当該コンテナを乙国の港にあるYのコンテナ・ヤードで引き渡した。
   Yがコンテナの船積後にAに交付した船荷証券上の運送品の種類、運送品の容積、重量、包・個品の数、運送品の記号を記載する欄には、当該コンテナを特定する記号及び番号の記載と、その内容は冷凍エビを詰めた一定数の箱であるとの記載がある。
   日本の港での陸揚後、Xが、船荷証券を呈示してYからコンテナの引渡しを受け、直ちにその中を検査したところ、コンテナ内の温度が適当でなかったため、冷凍エビの鮮度が落ちており、Xは当該冷凍エビを市価の3割程度で売却せざるを得なかった。そこで、Xは、コンテナの受取から引渡しまでの間のYの措置が適切でなかったとして、Yに対する損害賠償請求の訴えを日本の裁判所に提起した。
   この事例について、以下の設問に答えなさい。なお、設問の各問いは、いずれも独立したものである。また、この事例及び設問における日本の会社、乙国の会社、丙国の会社とは、それぞれ、日本、乙国、丙国で設立され、設立された国に主たる営業所を有する会社をいうものとする。

〔設問〕

  • 1. Yが丙国の会社であるとし、YがAに交付した船荷証券には「本件運送契約から生ずる運送人の責任についての争いは、Yの主たる営業所の所在地である丙国のM市の裁判所においてのみ解決する。」との条項が記載されているものとする。Yは、この条項に基づいて、日本の裁判所は本件訴訟について管轄権を有しないと主張している。これに対して、Xは、この条項はXとYの双方が署名した書面によるものではないとの理由で、本件訴訟については丙国の裁判所には管轄権がなく、日本の裁判所に管轄権があると主張している。このYの主張は認められるか。
       なお、丙国では、被告の住所又は主たる営業所の所在地の裁判所は被告に対する訴えについて管轄権を有するとしている。また、日本と丙国は、いずれも、「1968年2月23日の議定書によって改正された1924年8月25日の船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約を改正する議定書」の締約国である。
  • 2. Yが日本の会社であり、YがAに交付した船荷証券には「本件運送契約から生ずる運送人の責任についての争いは、日本のN市の裁判所において、日本法によって解決する。」との条項が記載されているものとする。
    • (1)   XがYに対して冷凍エビの商品価値の下落についての損害賠償責任を追及することができるのは、どのような場合か。
    • (2)   XがYに対して損害賠償責任を追及することができるとした場合、冷凍エビに関する損害賠償の金額は、どのようにして算定されるか。

b. 類似する期末試験過去問

   国際民事訴訟法2005年度第1問、国際動産取引法の2005年度第3問および2007年度第1問の計三問が特に関連しています。以下に問題文を引用します。

ⅰ. 国際民事訴訟法 2005年度 期末試験問題

1. 以下の(1)(2)の問いに答えよ。
   日本法人Xはヨーロッパで新車数十台を買受け、オランダ法人Y1との間で、Y1が本件車をオランダ国ロッテルダム港から神戸港まで海上運送する契約を締結した。Y1は、パナマ船籍の船を傭船して運送したが、その従業員でフィリピンに住所を有するY2が船内で車の固定を怠ったため、神戸港に陸揚げされた車の多くには、航海途上、船内で衝突を繰り返した傷がついていた。Xは京都の本店で車を転売したが、傷がついた車は中古車としてしか売れなかったため、当初予定していた転売利益を大きく下回った。そこで、Xは、わが国において、Y1に対し運送契約に基づく債務不履行の損害賠償の訴えを、Y2に対し不法行為に基づく損害賠償の訴えを併合提起した。Y1は、オランダ国アムステルダムに本店を有していたが、大阪市内にも小規模の営業所を有していた。

  • (1)   (略)
  • (2)   上記の事実関係に加えて、Y1からXに発行された船荷証券に、「この運送契約による一切の訴は、アムステルダムにおける裁判所に提起されるべきものとし、運送人においてその他の管轄裁判所に提訴し、あるいは自ら任意にその裁判所の管轄権に服さないならば、その他のいかなる訴に関しても、他の裁判所は管轄権を持つことができないものとする」との管轄約款が存在した場合、Y1に対する訴えにつき、この管轄約款により日本の国際裁判管轄権が否定されるかどうかを論ぜよ。

ⅱ. 国際動産取引法 2005年度 期末試験問題

3. コンテナ1台に、工場備品が2包(包Xと包Y)詰められ、海上運送に出された。包Xに備品aと備品bとが入っており、包Yに備品cと備品dとが入っていたが、運送中に備品aと備品cが滅失した。各備品の総重量と、荷揚げされるべき地及び時における市場価格は次のとおりであった。

    価格(万円)

総重量(kg)

包X 備品a 10 50
備品b 250 400
包Y 備品c 500 800
備品d 300 350

   以上の状況下で、国際海上物品運送法の下で、次の(1)(2)のそれぞれの場合につき、賠償額はいくらになるか。責任限度額の計算にあたっては、1計算単位を180円とせよ。結論だけでなく、思考の過程も記述すること。

  • (1)   船荷証券に"one container containing equipments 「備品をつめたコンテナ1台」"とだけ記載され、中品2包との記載がない場合
  • (2)   船荷証券に“one container containing 2 packages of equipments 「2包の備品をつめたコンテナ1台」”との記載がある場合

ⅲ. 国際動産取引法 2007年度 期末試験問題

   第一問 日本法人Sは香港法人Bに対して、ある種の鋼材100本を「インコタームズ2000 CIF香港」条件で売る契約を結んだ。この契約では、代金の支払は信用状によること、Sは船荷証券の正本一通をBに直送することなどが約された。BはG銀行と信用状開設契約を結び、それに従ってG銀行は、船荷証券全通(full set)などの呈示を条件とする信用状を「信用状統一規則」(UCP600)に準拠して発行し、Sに通知した。
   Sは神戸港から香港までの本件鋼材の運送につきCと運送契約を結び、99本の鋼材を3台のコンテナに詰め込んで船積みした。船積時に、Cは、コンテナの開口部にあった鋼材のうち1本に錆が生じているのに気づき、船荷証券の発行にあたって、故障摘要を付記しようとしたが、無故障船荷証券(clean BL)の発行により被ることのあるCの責任に対してSが補償することを約した補償状の差入れをSから受けたので、故障摘要を付さず、「外観上良好な状態で船積みされた(shipped in apparent good order and condition)」という印刷された文言も修正しなかった。そして、「運送品の明細」欄には、Sから書面により通告を受けたとおり、「鋼材100本を詰め込んだコンテナ3台」と記載したが、鋼材は既にコンテナに詰め込まれていたために、正確な数量の確認はできず、「重量および数量不明(weight and quantity unknown)」と付記した。また、裏面には「Cは、本船の堪航能力の担保について、使用する者が注意を怠ったことにより生じた運送品の滅失、損傷の責任を負わない」との記載を付した。Cは、こうして作成した船荷証券の正本3通を発行し、Sに交付した。
   Sはこのうちの1通をBに直送し、それと引換えに、信用状呈示書類としての船荷証券は、正本2通で足りるという応諾書をBから受け取った。Sは、応諾書を残りの船荷証券2通に添付して、G銀行に呈示したが、Gは、船荷証券全通の呈示がないことなどを理由として、信用状金額の支払いを拒絶した。
   コンテナの船積後、本船は神戸港を出航して香港に向かったが、3台のコンテナのうち1台(コンテナα)が保管された船倉は、造船業者の設計上の過誤で、湿度が発航時から著しく高くなる構造となっており、それが原因となって、α内に詰め込まれた鋼材には、甚だしい錆が発生した。別の1台(コンテナβ)は、別の船倉に積みつけられ、化学薬品を詰め込んだコンテナに横付けされていたところ、運送中に、船員の過失によって同船倉内で火災が起こり、その熱が原因で蒸発した化学薬品と反応して、β内に詰め込まれた鋼材も甚だしい錆を発生させた。残りの1台(コンテナγ)は、αともβとも異なる船倉に保管され、香港まで事故なく運送された。
   香港において、BはSから直送された船荷証券1通をCに呈示し、本件鋼材の引渡しをうけた。Bは、受取の日から5日目に、荷揚数が99本であること、コンテナαとβに詰め込まれていた鋼材に甚だしい錆があること、コンテナγに詰め込まれていた鋼材にも錆があることを確認し、ただちにCに通知するとともに、鋼材の1本の滅失および99本の損傷について、Cに対して損害賠償請求した。Cは、滅失・損傷に関してBに対して負う責任について、Sに対して補償請求した。
   以上の事実関係のもとで、すべての法律関係について、国際海上物品運送法などの日本法が適用されるとして、以下の各問いに答えよ。

  • (1)   (略)
  • (2)   (略)
  • (3) コンテナαに詰め込まれていた鋼材について、BのCに対する損害賠償請求は認められるか。
  • (4) コンテナβに詰め込まれていた鋼材について、BのCに対する損害賠償請求は認められるか。
  • (5) コンテナγに詰め込まれていた鋼材の荷揚時の錆は、鋼材の特殊な性質による損傷であるとCは主張している。BのCに対する損害賠償請求において、BとCは、それぞれ何についての証明責任を負うか。
  • (6)   (略)
  • (7)   (略)

c. 関連するレジュメ

   上に引用した問題に特に関連するレジュメは、国際民事訴訟法の授業で使用する「合意管轄」
(http://www1.doshisha.ac.jp/~tradelaw/JurisdictionAgreement.doc)および国際動産取引法の授業で使用する「国際海上物品運送法」(http://www1.doshisha.ac.jp/~tradelaw/COGSA.doc)のレジュメです。

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