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教員からのメッセージ


佐伯 祐二 教授
行政法へのお誘い
 俗に言う六法には入らないが、新司法試験において必須である科目は何か?
 行政法です。行政法は、旧司法試験では選択科目であった(新試験が始まる前約10年間は、選択科目からも外されていた)ところ、なぜ新試験では必須となったのか、たとえば、阿部泰隆「大学改革と公法学教育」公法研究68号66~68頁(2006年)を参照して下さい。一部の行政法学者らによる、政府への根強い働きかけがあったし、また、2004年の行政事件訴訟法改正に見るように、司法による行政統制の強化の必要を内閣・国会も認めざるを得なくなっているという情勢も背景にありました。
 行政法学の役割は、多様な行政活動と行政組織に関する法や、行政活動ゆえに生じる権利・利益の侵害・制限からの救済に関する法という、極めて広い領域に関わる諸法を整序する枠組みを作り、その枠組みを修正・発展させながら具体的な解釈論や立法論を行うことにあります。先進諸国では、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、行政の活動と組織の重要性が一定の臨界点に達し、同時に行政への立法・司法による統制の漸次的進展があった時期に、初めて、行政法という法領域の成立が語られるようになりました。警察や租税、公的年金、新しくは消費者保護や環境保護といった個別領域の法の分析を超えた、より横断的・一般的な枠組み作りを、行政法学は求めてきたのであって、その作業はなお継続中です。
 法科大学院の授業では、とりあえず、壮大な話は封印して、行政手続法・行政事件訴訟法などの一般法を扱う他、建築基準法、都市計画法、厚生年金保険法などなど、個別の法令の条文を具体例に挙げて学んでいくことになります。ドイツでは行政法は「具体化された憲法」と言われるそうで、行政法には憲法と重なる部分が少なくないほか、民事法・刑事法との交錯もあります。行政法の排他的領域の画定に努める人は、まずおりません。こういう分野を皆さんが魅力的と思うか、鵺(ぬえ)的と思って敬遠するか、我々教員の側にもchallengingな日々が続きます。

 

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