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教員からのメッセージ


奥村 正雄 教授
「犯罪被害者等の視点」をとり入れた刑事司法
 刑事法領域では、近時、わが国の刑事司法制度改革の一連の流れの中で大きなうねりとして出てきた「犯罪被害者の視点」について、認識を深めていただきたいと思います。
 その1つが、刑事手続における犯罪被害者やその家族・遺族(以下、「犯罪被害者等」という)の保護等に関する法整備の一環として、被害者参加制度が導入されたことです。わが国では1990年代後半から、刑事手続上の犯罪被害者等の保護等に関する法整備を図るために、犯罪被害者保護法が制定されたり、刑事訴訟法や少年法等の一部改正が行われたりしましたが、2004年に犯罪被害者等基本法が制定され、これをうけて2005年に犯罪被害者等基本計画が策定され、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための種々の施策と法整備が行われてきました。被害者参加制度は、その一環ですが、死傷事件や強姦事件など一定の犯罪の被害者等が裁判所の許可を得て刑事裁判に参加し、公判期日に出席するとともに、一定の要件の下に証人尋問、被告人質問、事実又は法律の適用についての意見陳述を行うことができる制度であり、同時に新設された損害賠償命令制度とともに、2008年12月から施行されています。被害者参加制度が裁判員制度と絡み合うことで刑事司法にどのような影響を与えるかは注目されるところでしょう。
 被害者参加制度では、刑事訴訟法等の理論・実務上の解釈・適用の問題として扱われることになります。重要なことは、なぜ犯罪被害者等の心情等を慮る必要があるのか、はたして導入された制度が犯罪被害者等の権利利益を実現しているのかなど、「犯罪被害者の視点」を刑事司法にどのように取り込むかの問題を考えることです。そのためには、授業だけではなく、書籍、雑誌、マスコミ報道等を通して、背景にある犯罪被害者等の心情や、犯罪被害者等に対する実際的・精神的支援等にも関心をもつよう心がけていただきたい。なお、こうした犯罪被害者等への理解の向上を法科大学院による教育により促進すべきであることが犯罪被害者等基本計画に明記されていることを付言しておきます。

 

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