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教員からのメッセージ


深谷格 教授
「地の塩、世の光」として
 日本の民法にドイツ民法とともに多大な影響を与えたフランス民法典(ナポレオン法典)は、フランス革命後に制定されましたが、フランス民法典の4人の起草委員はいずれも弁護士や裁判官などの法律家でした。彼らは狂乱の革命時に投獄され、処刑者リストに載せられたり、亡命を強いられたりしましたが、しぶとく生き残り、フランス社会に安定した秩序をもたらすことに寄与しました。また、フランス革命時に人権宣言の制定に関与し、信仰の自由の条項を設けさせたラボー=サンテティエンヌはプロテスタントの牧師でした。
 軍部が独裁した戦前日本の異常な時代に、冷静なまなざしで抵抗した大学人には法学者が多く、なかでも京大事件(滝川事件)の京都帝国大学法学部の教授陣や天皇機関説事件の美濃部達吉、終戦工作を行っていた東京帝国大学法学部の教授たちが知られています。また、多くのキリスト者も有名であると否とを問わず抵抗していました。
 いつの時代にも、時流に流されず醒めた目を持った人は必要であり、その意味で、キリスト教大学である同志社大学が法科大学院を設置して法律家を養成することには大きな意義があります。あなたが本学に入学して「地の塩、世の光」(マタイによる福音書第5章第13、14節)となってくださることを願ってやみません。
 最後に、民法典起草委員であった穂積陳重(東京帝大教授)が、息子の穂積重遠(東京帝大教授(民法担当)・最高裁判事)の学生時代に、重遠に宛てた勉強法の覚書を紹介しておきましょう。 「勉強度に過ぐること勿れ、不規則なる勉強を為すこと勿れ、勉強して夜を更すこと勿れ、決して試験前に勉強を為すこと勿れ、毎日怠らず勉強せよ。」「近来学生の風潮年々試験勉強に走る傾向あり。是甚だ憂ふべし、試験勉強は啻に身体を害するのみならず又品性を害す。試験の事を思ひわづらふこと勿れ。唯教えられたることをよく学べ。」「学生時代より其学べるところに関し学友と盛に議論すべき事、之に就て演説を試むべき事、又は之を文章に書きあらはして之が活用を実習すべきこと」(大村敦志『穂積重遠』(ミネルヴァ書房、2013年)25~26頁)。
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