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2017年度科目案内


民事法

段階的に民事法をマスターする

民事法はどのような分野ですか?

A.民事法は、民法、商法、民事訴訟法という3つの法律分野全体を含んでいます。民法が、人間が社会で暮らしてゆくうえで作り上げていく生活関係全般を法的に規律しようとするものであるのに対して、商法なかでも会社法は「会社」という現代取引社会の最も重要な組織についての様々な法律問題をその対象としています。そして、民事訴訟法は、民法や商法で問題となる様々な権利・法律関係を裁判の場で実現するために、どのように裁判手続を行っていくかを対象にしています。
   そのため、民事法が対象とする範囲は非常に広範です。人の誕生や死、会社の設立や、取締役の責任、結婚や親子関係、相続、契約による財産の移転や、お金の貸し借りとその担保、交通事故や公害のように他人に与えた損害を賠償するような問題まで、人が日常暮らしていく上で経験するほとんどすべての事柄に及びます。

民事法をマスターするためには何が必要ですか?

A.法律家として、ある法律をマスターしたと言えるためには、①その法律分野の全体像を把握した上で個々の規律内容と制度の趣旨を理解して記憶しておかなければなりません。しかしそれだけでは不十分で、②特に重要な問題点については法的なルールがなぜそのようになっているのかという理由を十分に理解すること、そのルールを具体的な事案に適用し、それがなぜ適用されるのかという根拠を説得的に説明するだけでなく、③さらにその判断を論理的に文章化して他人に説明するという能力を備えなければなりません。本研究科のカリキュラムは基本的にこのような見地に立って、段階的に積み上げる形で無理なくこうした能力を身につけていく工夫をしています。
   そして、このような能力が必要であるのは、司法試験でも同じことです。司法試験では具体的な事例について特に③の能力を問われることになりますから、最終学年の後半では表現力を磨くことにも配慮しています。

民法のカリキュラムはどのようなものですか?

A.【1】未修1年次:基礎知識の習得

   未修者として入学した方は民法全体の基礎的な知識を修得することを目的として、民法講義Ⅰ〜Ⅵ(各2単位)の6つの講義を履修します。これは民法全体を民法総則、物権法、債権総則、契約法、不法行為法、家族法という分野に分けて学ぶものですが、いずれも条文や判例がどのような規律をおこなっているかを講義形式で修得します。さらに、民法基礎演習Ⅰ、Ⅱ(各1単位)という基礎知識を確実なものとするための演習も履修して、講義で得た知識の定着と整理を目指します。
   総計14単位という、かなりの単位数ですが、それでも民法全体の量からするとのんびり勉強というわけにはいきません。一方的に講義を聴くだけでなく、効率的な学修のために予習と復習を十分におこなうことが前提となります。

【2】未修者2年次=既修者1年次:重要論点の掘り下げと適用

   未修者2年目になると、1年目に修得した基礎知識をもとに、民法上の重要な諸問題について、一層掘り下げた学習をおこなっていくことになります。そのために民法演習Ⅰ〜Ⅲの三つの演習が用意されています。この演習では、民法に関する最も重要な判例を中心に、それがどのような事案についての判断であるか、またどのような理由のもとにそのような判旨が出されたのかを一つ一つ丁寧に学びますが、さらにそこで抽出される規範を具体的な設例に適用する能力をきたえることも重要な課題です。
   演習ですから質疑応答の形で授業が進行していきます。本研究科が徹底して採用している少人数でおこなう演習では、こうした質疑応答を通じて、皆さんの判例に対する理解や設例の法的分析、規範の理解やあてはめが正確であるか、十分吟味することができるようになるのです。

【3】未修者3年次=既修者2年次:長文事例問題の分析と文書作成

   最終学年は、総仕上げの段階です。この段階では、比較的長文の事例を読んで、法的な解決を導くというトレーニングをおこないます。民法総合演習Ⅰ(2単位)と民法総合演習Ⅱ(1単位)がそれです。
   さらに、この演習では法的分析、規範と理由付け、あてはめ、結論という一連の過程を、明確に文章にするというトレーニングにも積極的に取り組みます。誰しも、頭では分かっているつもりなのに、明確な文章にすることにむずかしさをおぼえたという経験を持っているでしょう。法科大学院における民法学習の最後の段階では、繰り返し実際に文書を作成することで、十分にこうしたトレーニングをおこなうことになります。

次に商法のカリキュラムはどのようなものですか

A.2017年度は、未修者1年次・既修者1年次(民訴法・刑訴法受験型で入学した者)必修科目として、春学期に商法講義Ⅰ、秋学期に商法講義Ⅱが開講されます。未修者2年次・既修者1年次必修科目として、商法演習が秋学期に開講されます。未修者3年次・既修者2年次選択必修科目として商法総合演習が春学期に開講され、基幹科目の選択科目として、春学期に会社法特講Ⅰが、秋学期に商行為法・手形法が開講されます。このほか、展開・先端科目として、春学期に金融商品取引法、銀行取引法、コーポレート・ガバナンス、秋学期にコーポレート・ファイナンス、企業結合法(M&A)、アメリカビジネス法が開講されます。学習の段階に応じた多様な選択科目が用意されているのが本研究科の特徴です。

商法講義ⅠとⅡについて詳しく説明していただけますか。

A.商法講義ⅠとⅡは未修者向けの講義です。未修1年次生には、大学法学部で商法の講義を履修したことがある学生とロースクールではじめて履修する学生の双方がありますが、いずれの学生にとっても履修する意味があるように、初歩的なことからかなり応用的なことまで幅広く取り上げるような講義内容としています。春学期には、会社法の総論及び会社の機関に関する部分を、秋学期には、会社の資金調達及び組織再編に関する部分及び商法総則・商行為・手形法小切手法の基本事項を解説します。講義では、簡単な質疑応答を交えながら、会社法の基本事項を解説します。判例のほか、株主総会の招集通知、計算書類などの実務資料も配付し、「生きた会社法」を理解できるように配慮します。

商法演習とはどういう講義ですか。

A.必修科目で、本研究科における商法の学習の中核となる科目です。会社法の事例教材を教科書に指定して、事例に含まれる法的問題を選び出し、判例学説の動向に留意しつつ、事例に即して妥当な解決策を導く能力を養うことを目的としています。事例に出ているさまざまな事実の中から、法律上の論点を発見し、その解決のために必要な法解釈(法規範)を提示し、さらに事実をその法解釈に当てはめて、結論に至るという法律家としての基幹的な能力を、質疑応答式の授業を通じて身につけることがこの科目の課題となります。

商法の科目において、実務家教員はどのような役割を果たしているのでしょうか。

A.2017年度においては、コーポレート・ガバナンス、企業結合法(M&A)及びコーポレート・ファイナンスの各科目について、実務家(弁護士)の教員が研究者の教員と共同で担当します。実務に精通した弁護士の先生方からコメントされる、教科書には書かれていない実務的な問題や実際に取り扱った事例の興味深い紹介などがあるでしょう。

ロースクールの学生に対して、商法、特に、会社法の学習についてアドバイスしていただけますか。

A.会社法は法律だけでも約1000か条の条文があり、さらに附属法令として会社法施行規則など詳細なものがあり、さらに判例も多数のものがありますので、学習内容は細かくかつ膨大なものという印象があるでしょう。また、多くの学生にとっては、会社で働いた経験もないので、会社法で規定されていることが現実の会社ではどのような意味を持つのかの実感を持てないことも、会社法の学習を難しく感じる原因となるでしょう。そのような抵抗感を克服し、会社法の理解を効率的に進めるためには、経済や会社に関する新聞その他の報道、あるいは経済書や経済小説などに日常的に関心をもって接し、会社に関する常識的なことを身につけることが近道となるでしょう。

最後に、民事訴訟法のカリキュラムはどのようなものですか?

A.本研究科においては、民事訴訟法を段階的に学べるようにカリキュラムを整備しています。未修者は2年次より、既修者は1年次より、以下の科目を受講します。まず、基礎科目としての「民事訴訟法講義(法学未修者対象)」「民事訴訟法基礎演習」では、民事訴訟法の基礎理論と基本的事項の理解を深め、次に、基幹科目としての「民事訴訟法演習Ⅰ」「同Ⅱ」では、身につけた基礎的知識を応用する能力を修得します。そして、「民事訴訟法総合演習」では、事例問題をもとに実務法曹として必要な問題発見能力、分析能力、そして、実際に起案する能力を養います。
   これらのほかにも、民事訴訟法に関連する法曹基本科目として「民事訴訟実務の基礎」「法曹倫理」が、実務関連科目として「民事模擬裁判」「法律実務演習」「法律文書作成」が、それぞれ設けられています。さらに、展開・先端科目として、「救済手続法」「倒産法Ⅰ」「同Ⅱ」「倒産法総合演習」「ADR法」「国際民事訴訟法」などが配置されています。

民事訴訟法演習はどのように行われますか。

A.あらかじめ提示された予習課題をもとに、教員と受講生との質疑応答を通じた、または、受講生同士での対話による、徹底した双方向の授業がなされています。決して「眠素」と揶揄されるような退屈なものではなく、とてもエキサイティングな授業です。そして、授業内容の理解を高めるためには、教材として予習課題に添付された判例・学説などをじっくりと読んだうえで、自分なりの解決方法を考えて授業に臨むことが求められますし、授業においても自分の見解を述べたり、疑問点を追究したりするなどして積極的に参加することが求められます。そして、授業内容に関して出された課題レポートの起案などを通じて、十分に復習をすることも要求されます。

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