こちらに共通ヘッダが追加されます。

2017年度科目案内


公法

論点を的確に捉える

Q. 公法系科目を学習する上で重要なことは何ですか?

A.はい。公法系科目においても他の法律科目と同じように法律判例学説を正確に理解し、それらを適切に用いて考えをまとめる能力を身につけることが重要ですが、その一方で、公法系の科目の学習においては他の法律科目とはやや異なる面があることも意識して欲しいと思っています。まず憲法については、司法試験での論文式試験の出題方法を含め、他の法律科目とは異なった特性があり、この点への対応が必要です。また、行政法については、事例問題は初めてみる法律と事案であることがほとんどで、教科書などで学んだことだけでは答案に何を書くべきかわかりません。両科目に共通していえることは、その問題において何が論点かを的確に捉える能力を養うことが非常に重要だということです。公法系の科目についてはこの点を意識したカリキュラムを用意しています。

Q. カリキュラムについてお聞きします。憲法では体系的な学習はどのように考えられていますか?

A.憲法に関しては、1Lの憲法講義Ⅰ・Ⅱでは、基本的人権・統治機構について、とにかく基本的な事柄を一通り学修します。両科目に対応する憲法基礎演習Ⅰ・Ⅱでは基礎知識の確認と定着を促します。
   その上で、重要な、あるいは難解なポイントについて、2Lの憲法演習Ⅰと3Lの憲法演習Ⅱを使って、集中的に取り扱います。憲法演習Ⅰは、重要な判例(判決文)を読み込んだうえで議論する能力を修得するための演習科目です。憲法演習Ⅱでは憲法訴訟等について学修します。
   3Lの選択科目の憲法総合演習Ⅰと憲法総合演習Ⅱは、事例問題について各自作成したレポートをもとに、考えてもらって議論する授業です。憲法の場合、そもそもその事例で問題となっている人権が何なのか、統治機構論上の論点は何なのか、ということに気づけるかどうかがかなり重要なので、この種の機会は2Lでも1回くらいは作ることにしています。

Q. 行政法のカリキュラムはどのようなものですか?

A.未修の方と、既修のうち民訴法・刑訴法受験型の入試で入学した方は、1Lの秋学期に行政法講義(総論)で行政法総論に関する基本的な学習をします。次に、未修・既修の両者とも、2Lの秋学期に行政救済法を内容とする行政法演習Ⅰを経て、3Lの春学期に行政法演習Ⅱ(行政救済法の続きと行政法総論・救済法の両者にわたる基礎的な演習)を積み上げます。行政法の場合も事例問題においては論点を見抜くことが重要であり、最初の出発点を間違えて失敗してしまうことが多いので、論点を的確にとらえる力を養うことを重視した授業を行っています。ここまでが必修科目です。
   加えて行政法総論の基礎知識の確認のために、2L春学期の行政法基礎演習、また、事例問題についての発展的学習のために、3L春学期の行政法総合演習Ⅰ、3L秋学期の行政法総合演習Ⅱを選択することもできます。

Q. 法科大学院の教育で具体的にどのような工夫をされていますか?

A.まず重要なことは、授業の内容を精選することでしょうか。
   授業で取り上げることは本当に重要なこと、必ず理解してもらわないといけないことに限定し、その中でも特に重要なことについては繰り返し学び、着実に身につけてもらうよう、判例・教材・資料の提示の仕方や説明の仕方について工夫しています。
   論点を的確に読み取る能力を身につけるには、多様な憲法・行政法の問題について自分の頭で考え抜く経験を積み重ねていくことが重要です。憲法の授業では、重要な事案については最高裁判例を丹念に読み込み、必要な場合には多数意見と少数意見の双方の論理を詳細に分析し、それを自分自身の見解に反映させることができる能力にまで高めることに力点を置いています。また、行政法の授業では、判例や事例問題に登場する様々な法令を資料として用い、事案の分析の中で、法令の複雑な仕組みを丁寧に読み解くことにも時間を費やしています。
   もう一点は、実際に法律論を組み立てて文章を書き、それを教員がみて指導する機会をできる限り確保したいと考えています。憲法総合演習Ⅰ・Ⅱでは、課題についてのレポートを、出せる人には出してもらい、添削して返却するようにしています。正規の授業外でもAAによるゼミや学習指導、オフィス・アワーなどの時間を利用して、書いたものをみてほしいという要望には積極的に対応するようにしています。行政法演習Ⅱと行政法総合演習Ⅰ・Ⅱでは、受講期間中に各受講者が最低1回、授業前に課題レポートを提出することを義務付け、それを添削したものをもとに授業を行っています。

Q. 今、公法を学ぶことの楽しさというのはどこにあるのでしょうか?

A.公法の学説や判例を学ぶことは、社会全体に関わる「公」と各個人の間の問題を論理的に整理して客観的に理解し、各自の考えを明確化することにつながります。学説・判例を正確に理解した上で、学説・判例の到達点(現段階)を踏まえつつ、自らの考え方を主体的に精緻に組み立てていく能力・資質が公法分野で活躍する法律家には求められます。
   最近の政治社会状況の中で、あらためて公法学が注目されていますが、20年ほど前から公法の分野では立法も判例も大きく変化しています。憲法では、たとえば最近の民法家族法規定の合憲性に関する一連の最高裁大法廷判決は、日本国憲法の基本的人権保障のあり方、家族のあり方などを真摯に考えることを要請するものです。行政法についていえば、以前は行政訴訟で行政側が敗訴することは特定の分野を除けばほとんどありませんでした。必ずしも原告勝訴が望ましいわけではありませんが、最初から結果が見えているというのは学ぶ者として味気ないものでした。しかし、とりわけ2004年の行政事件訴訟法改正以降、状況はかなり変わってきています。
   益々流動化する社会・世界にあって、公法の学説・判例も流動化しています。そうした状況を主体的にみる力を身につけ、そして自ら積極的に社会に関わっていこうとすることが公法を学ぶ上での楽しさではないでしょうか。

ページTOPへ